税理士の転職先は、どんな仕事があるのでしょうか?
税理士は専門スキルが高いため、転職で即戦力の人材を求められる場合が多く、実績が重視されます。
スキルと経験を活かして重宝される会社への転職なら、活躍の幅が広がりそうですね。
この記事では資格が有利に生かせる仕事と、税理士の需要について徹底解説します。
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目次
税理士の転職のメリットは?資格は有利に生かせる?
結論から言うと、税理士資格を持っている場合は転職でとても有利です。
高いレベルのスキルと専門性の裏付けになるため、税理士は即戦力として採用してもらえる可能性があります。
転職のメリットを、税理士のスキルと合わせて紹介します。
経理や財務の専門性を充分にアピールできる
一般事業会社や会計事務所では、経理や財務の高い専門的な知識を持つ人材が求められます。
大手税理士事務所では、税理士資格や試験科目合格の採用条件を設定している場合が多いため、転職で資格が有利に働くでしょう。
一般的な企業の転職採用では、成長性に期待するポテンシャル採用や、即戦力を求める採用がありますが、どんな場合でも資格を持っていた方が無資格よりも優遇されます。
ただし転職先によっては専門知識より、応募者の年齢や業務経験、人間性などを重視する可能性があります。
企業はどんな人材を求めているのか、求人応募の前に確認してください。
税務の得意な分野を証明できる
税理士試験には、科目合格制度や科目選択制度という特有のシステムがあります。
税理士試験で合格した科目と転職先の特性を見極めて応募すると、転職成功の可能性が高まるでしょう。
科目合格制度や科目選択制度は、11科目の中から受験科目を自由に選ぶことができ、合計5科目をクリアすれば税理士試験に合格したと認められます。
どの科目を選択したかによって、どんな分野が得意なのか、合格のためにどんな勉強をしてきたのか有効なアピールが可能です。
例として、必修科目で所得税法を選んだ場合は税務のコンサルティング業務に強いことの証明ができます。
法人税法を習得していれば税理士法人・会計事務所や一般企業での採用試験で有利です。
問題解決力の高さと柔軟性をアピールできる
税理士試験は5科目を1回で合格できる人は少ないため、難関資格といえます。
不合格になっている受験者も多くいるので、税理士資格を持っているということは問題解決力の高さがアピールできます。
転職では問題解決力や、トラブルに柔軟に対応する適性も求められるため、効果的な自己PRが可能です。
税理士資格を持っていること自体、自分の弱点を見つめ、合格に向かって問題を克服するために努力を重ねた証拠になります。
ワークライフバランスに合わせた多様な仕事ができる
税理士資格があれば、ワークライフバランスに合わせて実績や資格を活かしながら、自分のペースで働けます。
育児や介護などでライフスタイルに変化があった場合は、ほかの仕事に比べて多様な働き方ができることが特徴です。
在宅勤務や時短勤務など、仕事によってさまざまな勤務体系が選べることも、税理士が転職で感じやすいメリットでしょう。
税理士の転職先は?資格が有利に生かせる仕事
税理士の転職先や就職先にどのような職場があるのか、大きな4つのジャンルからさらに具体的に紹介します。
税理士資格があれば幅広い仕事ができるため、転職のハードルは高いとは言い切れません。
自分のキャリアや目標と相談し、転職先を見極めてくださいね。
会計事務所・税理士事務所・税理士法人
税理士資格があると目指しやすい、会計事務所、税理士事務所、税理士法人には以下の違いがあります。
| 会計事務所・税理士事務所 | 代表の会計士や税理士と、スタッフによって運営される個人事務所 |
|---|---|
| 税理士法人 | 2名以上の税理士が設立・運営 個人事務所とは異なり、支店の設置なども可能 |
全国展開している規模が大きい税理士法人もあり、転職後はさまざまな働き方が考えられますね。
税理士法人大手(BIG4)｜高度な仕事ができる業界最大手4社
税理士法人の大手4社は、BIG4と呼ばれる以下の会社があります。
- PwC税理士法人
- デロイトトーマツ税理士法人
- KPMG税理士法人
- EY税理士法人
BIG4は、グローバル展開を行なっている外資系会計事務所の日本支部です。
クライアントの税務申告書の作成とレビューが業務の中心で、記帳代行や決算に関わる仕事はほぼありません。
高度な税務が経験できますが、実務の幅が限定的だったり、転勤が避けられなかったりします。
転職では、税理士試験5科目合格者が求められますが、3科目以上の取得者も対象としており、高い語学力も重視される傾向です。
国内独立系大手税理士法人・中堅税理士法人｜幅広い業務を担当できる
税理士の転職先には、国内独立系で数百名規模の大手税理士法人や、数十名規模の中堅税理士法人もあります。
事業継承や事業再生の支援業務にも取り組めるため、実践的な幅広い経験が積めるでしょう。
将来独立を目指す人は、さまざまな案件に触れられるためおすすめの転職先です。
ただし、国内独立系の大手税理士法人は、BIG4と比べると提供するサービスやクライアントの規模が異なります。
中堅税理士法人の場合は、上場準備企業や上場して間もない新興企業、ベンチャー企業がおもなクライアントです。
企業の規模によって担当する業務も大きく異なるため、転職前に仕事内容に見合うスキルはあるか、確認しましょう。
中小会計事務所・税理士事務所｜好きな地域で働きやすい
中小個人会計事務所や税理士事務所は、税理士の転職先として一般的な職場です。
中小零細企業や個人事業主などをクライアントとし、財務相談や税務申告書の作成のほか、決算指導などを行っています。
税務や会計の支援が主な仕事で、全国にさまざまな事務所が設立されているため、地元に根ざした案件が多い傾向です。
相続やSPC(資金調達目的につくられる特別目的会社)関連業務のような、特定分野特化の会計事務所や税理士事務所も存在します。
転職は、自分のスキルや目的とするキャリアにあった事務所を選びましょう。
会計系・資産税系コンサルティングファーム｜導入支援の実績が作れる
税理士へのニーズが高いのは、コンサルティングファームの中でも、会計系や資産税系に特化した会社です。
会計系・資産税系は株式公開支援や、M&A(事業買収)に関わる支援、事業継承や企業再生、海外進出など、コンサルティング業務に重要な経験が積めます。
しかし、転職ではひととおりの仕事に対する知識や理解が必須と考えましょう。
経営戦略経営のコンサルティングファームを希望する場合は、階層構造や企業ドメインの定義など経営戦略のアドバイスができるスキルが求められます。
一般事業会社
一般事業会社とはいわゆる一般企業のことをいい、税理士は転職して経理部門で働くという選択肢があります。
日系一般事業会社｜ライフワークバランスが取りやすい
一般事業会社の規模は大手上場企業から中小企業、ベンチャー企業までさまざまな会社があります。
大手や上場企業は、税務専門の仕事を担当する場合が多い傾向です。
中小企業やベンチャー企業の場合は、経理や財務などを含めた幅広い仕事を担当できるでしょう。
外資系企業｜高い報酬が期待できる
企業規模が大きい外資系の会社では業務が細かく分かれており、任せられる仕事に高いスキルが求められます。
一方で、規模が小さい外資系企業は、税務に限らず幅広い業務を担当する場合が多く見られます。
税理士の外資系企業での仕事は、本社へのレポーティングや日本法人の決算対応がおもな業務です。
ほかには、キャッシュマネジメントや会計などにまつわる業務を担当したり、財務計画立案や財務データの分析のFP&A（ファイナンシャルプランニング&アナリシス）が考えられます。
外資系企業では企業の本社がある国の言語力の他に、英語力は会議に参加できるくらいの上級レベルが求められるため、語学力がなければ転職は難しいでしょう。
金融機関
税理士の転職の金融機関は、以下のものがあります。
- 銀行、信用金庫
- 証券会社
- リース会社
- ファンドやアセットマネジメント提供の資産管理会社
- SPC（特別目的会社）
- REIT（不動産投資信託）
税理士が担当する金融機関の仕事は、社内向けの事務作業がメインとなるバックオフィスと、顧客対応のフロントオフィスに分けられます。
バックオフィス｜経理や税務の経験が積める
バックオフィスの仕事は、自社の経理や税務のほか市場取引を行うフロントオフィスの支援などがあげられます。
ほかにも、ディーラーやトレーダーが売買した資産取引の事務処理、予定した契約の履行・決済・管理があります。
年収水準が高いことがメリットですが、仕事は専門性が高いので一般事業会社で発揮するスキルとは異なります。
そのため、金融機関から他業種への再転職は、やや難しい傾向と考えましょう。
フロントオフィス｜コンサルティングやアドバイザリースキルが磨ける
フロントオフィスは法人向けの事業継承や組織再編コンサルティング、富裕層向けの資産管理やコンサルティングを行います。
加えて中小企業やベンチャー向けの資金調達や、M&A(企業買収)のアドバイザリーも仕事の範囲内です。
顧客と関わるポジションのため、独立を考えている人は人脈作りに有利な環境です。
税務申告書や税務意見書の作成といった税理士の仕事がほとんどなく、新しい分野の勉強が必須と考えましょう。
ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)｜資金調達スキルが発揮できる
ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)は、企業におけるファイナンスや戦略、管理に関わる仕事を行います。
経営戦略や財務戦略につながる仕事のため、経営面や管理面のさまざまな高いスキルが求められるでしょう。
CFOはベンチャー企業が安定化に向けて動いている時期に、全体をとりまとめる手腕が試されます。
経営や方針決定の場面で適切な判断が求められるので、経営者の意思をくみ取り、経営を俯瞰して見る必要があります。
転職でCFOになれるチャンスは少ないですが、ベンチャー企業で募集している場合があるので、定期的に求人をチェックしましょう。
税理士の転職先と需要を年代ごとに紹介!
税理士は転職市場で求人募集が応募者より多く、売り手市場が続いています。
人手不足が続くため採用のハードルを下げる事務所も多くあり、転職するためのタイミングとしてはベストでしょう。
大きな不景気の原因となる出来事が起きない限り、税理士の売り手市場は続くと予想できます。
税理士の転職を、応募者の年代ごとにポイントをまとめました。
税理士の転職先で20代が覚えておきたいポイント
20代は税理士資格を目指しながら勉強をしている人材が多く見られます。
若手人材ということもあり、景気の動向にかかわらず流動性も高いため、一定の求人数は常にあります。
税理士法人や会計事務所なら働きながら勉強できるので、20代の人気が高い職場と言えるでしょう。
3科目以上の合格者が有利ですが、2科目以下の合格の場合は簿記論と財務諸表論に合格していると有利です。
経験者採用の場合は2年以上の実務経験があれば、戦力として考えてもらえるでしょう。
一般事業会社のへの転職は税理士資格合格者で、会計事務所の実務経験があればベストです。
上場企業の経理経験や高い語学力もプラスに考えられるため、アピールしましょう。
これからのキャリアパスをよく考え、目的に合った経験が積める企業を選んでください。
税理士の転職先で30代が覚えておきたいポイント
30代は財務会計業務の幅を広げ、将来のキャリアプランに備えた転職が考えられる世代です。
30代以降の場合は転職先同様の仕事経験がある即戦力採用がメインとなり、実務経験が優遇されます。
税理士法人や会計事務所への転職では、会計事務所での財務や会計、マネジメントに関わる実務経験が3年以上あると有利です。
とくに税理士法人では税務申告の経験や連結納税、相続税や譲渡に関わる申告、事業継承やM&A目的の株価算定の経験が優遇されます。
一般事業会社のうち上場企業への転職は、税理士資格所有者や英語力保持者のほか、法人税務経験者は有利な傾向です。
大手企業では法人税務経験者への需要が高いと判断できます。
ベンチャー企業や非上場企業の場合、税理士試験科目合格者に対しても多数の求人が出されます。
税理士の転職先で40代が覚えておきたいポイント
40代以上は転職で求められるハードルが高くなります。
しかし企業が指定する経験やスキルがあれば、求人は見つけやすい傾向です。
転職の際は、マネジメント能力や顧客対応能力も重視されます。
例にすると、以下の経験があれば40代も転職のチャンスはあるでしょう。
- 会計事務所で法人、個人税務の案件を担当しておりスキルに自信がある
- 国際税務を担当できる語学力がある
- 上場企業の経理財務部門の管理ポジション経験者
税理士が転職先を選ぶときに気を付けたいポイント
税理士が転職先を選ぶときは、気をつけたいポイントがあります。
税務に関わるスキルの他に、コミュニケーション能力やこれからのキャリアパスを考えて転職先を選んでください。
経営者や社風とマッチするか
少数で運営している企業の場合、経営者の性格が職場に強く反映される可能性があります。
社内イベントへの出席や、業務時間外のコミュニケーションが必要な会社は、雰囲気になじめないと、再び転職をする可能性が高まります。
職場見学の機会をもらったり、転職エージェントを活用して職場の状況を聞いたりして、業務以外の不安点をなくしましょう。
期待できるキャリアが積めるか
会計事務所を例にすると業務内容は事務所ごとに異なり、クライアントのレベルにも大きな差があります。
今後のキャリアに有利な業務経験を積むためには、事務所がどのような仕事を行なっているか事前の調査を徹底してください。
また税理士試験の受験を考えている人は、試験勉強や資格取得後の昇給に理解がある事務所への就職をおすすめします。
転職先に汎用性があるか
飲食や医療分野など何かしらの業界に特化した会計事務所への転職は、汎用性がなく元のキャリアに戻りたい場合に不利になる可能性があります。
例として、飲食関連の開業コンサルタントに関わってみたものの、自分と合わないという場合が考えられます。
業務特化型は、高い報酬が得られるほか、専門的なスキルが身につくため独立しやすいことが特徴ですが、マッチしない場合はいいキャリアになりません。
業務特化型の会計事務所に転職する場合は、面接で不安なことをすべて聞きましょう。
採用企業も応募者の懸念点を理解しているため、質問に答えてくれることがほとんどです。
税理士が転職先に迷ったら?【悩み解決Ｑ＆Ａ】
税理士が転職先に迷った場合の解決方法をQ&A形式で紹介します。
転職全般に関わる質問が多いのですが、どれも重要な悩みのため本格的に動く前に解決しましょう。
Q.税理士の転職は何歳までできる?
応募者が年齢にふさわしいキャリアや実績を積んでいれば、転職のハードルは高くないでしょう。
確かに年をとるほど転職の難易度が上がりますが、企業が求める人材であれば採用の可能性はあります。
税理士の転職について以前は35歳限界説がありましたが、それはスキルを持っていない場合や税務と関係ない異業種に転職する人に限った話です。
Q.税理士は転職先の仕事が未経験でもできる?
税理士は業務未経験でも転職するチャンスがあります。
ただし若年層の求職者がより有利と考えられるため、35歳以降の税理士は科目合格者であることや、仕事に必要な専門スキルを高める必要があります。
年齢より実務経験を重視する小規模の会計事務所を選べば、より転職しやすくなるでしょう。
Q.税理士専門転職エージェントはある?
税理士の転職に特化したエージェントは多数あります。
求人情報ではわかりにくい職場の内情について教えてもらえるため、税理士に特化したエージェントを活用した転職活動をおすすめします。
複数の転職エージェントを並行して活用すると、忙しい人も転職活動が効率的に行えますよ。
税理士の転職先は資格が有利に活かせる仕事がおすすめ
税理士の転職先は、資格が有利になる業種がおすすめです。
35歳までなら未経験の仕事でも採用されやすい状況ですが、30代後半からは特筆したスキルや管理ポジションの経験が求められる場合が多い傾向です。
不安がある人は税理士に特化したエージェントを活用し、転職活動を効率的に進めましょう。
