業務委託という契約形態をよく見かけるようになりましたが、業務委託がどのような形態で働くことなのかよくわからないという人もいます。
知らないで契約してしまうと、思わぬトラブルになってしまうこともあるため、正社員との違いなどを知っておくことが大切です。
そこでこの記事では、業務委託がどのようなものなのか、契約の注意点などについて解説します。
目次
業務委託って何？
求人情報を見ていると、最近「業務委託」と書かれているものを目にする人も多いのではないでしょうか。
業務委託は自由な働き方ができるとイメージする人も多いですが、実際にどのような契約のことを指すのかよく理解していないという人もいるでしょう。
業務委託と正社員とでは、その契約内容や立場が異なることを理解しないで契約してしまうと、トラブルに発展してしまうこともあります。
業務委託とは以下のようなことを指します。
フリーランスが個人事業主として業務を受注すること
業務委託で働く人の中には、個人事業主として働くフリーランスが多くいます。
業務委託は、業務を受注して働く雇用形態のことを指し、雇用関係はありません。
業務委託契約は、企業が自社で抱えきれない業務を外部や個人に委託するための契約で、業務そのものを請け負うことになります。
そのため企業にとって必要なスキルを持つ人と契約し、成果物の納品に対して報酬が発生するのです。
フリーランスとして働く個人事業主が、そのスキルを活かして働くパターンが多くあります。
成果物を納品出来ないとペナルティがある場合も
成果物を納品することで報酬が発生する「請負契約」の場合、成果物の納品を約束しているため、納品できなければ報酬が発生しないだけでなく、ペナルティが発生することがあります。
ペナルティの内容に関しては、クライアントによりますが違約金や即契約終了などとなっているようです。
成果物を確実に納品するという契約だからこそ、このようなペナルティを設け未納品を防いでいるのです。
企業と受注者の関係が対等
業務委託は、正社員やアルバイトといったような雇用関係ではなく、企業と受注者は対等な関係です。
個人で受注する場合でもこれは同じで、クライアントである企業から指揮命令を受けることはありません。
完全に自己管理のもと業務を遂行し、確実に成果物を出さなければいけません。対等だからこそ、責任感を持って業務に取り組み信頼を築いていく必要があります。
雇用関係は発生しない
業務委託契約は雇用契約ではないため、企業と受注者の間に雇用関係は発生しません。
雇用関係が発生する正社員のような働き方の場合、勤務時間や場所・業務内容など会社の指示に従う必要があります。
しかし雇用関係のない業務委託契約は、このような縛りはなく求められる成果物を納品すれば、あとは自分の裁量で仕事ができるのです。
納期や契約を守れれば裁量が広い
雇用関係のある正社員のように、時間や場所に縛られることなく働ける業務委託は、事前に決めた納期や契約内容を守れば、あとは自由に業務ができ裁量が大きい働き方です。
もちろん成果物に対する責任も大きいですが、自由な環境で働きたい・裁量大きく働きたい・スキルを活かしたいと考える人にとっては、業務委託で働くのはとても魅力が多いのではないでしょうか。
ただ納期を過ぎてしまう・求めるクオリティに達していなければ、再委託してもらえないなど厳しい世界でもあり注意が必要です。
業務委託と請負契約の違いは成果物に対する責任が生じる
業務委託には「請負契約」と「委任契約」の二つがあり、その2つを総称して業務委託契約と呼びます。
中でも「請負契約」は、成果物に対する責任が生じ、クライアントは成果物に対して報酬を支払います。
そのため成果物が満足するものではない、納品されないなどトラブルがあれば、報酬減額または報酬が支払われないケースもあります。
もちろん直してほしければ対応しなければいけません。
ただ業務をやればよいというわけではなく、裁量が大きい分成果物に対する責任があるのも、請負契約を結ぶ上で知っておくべき事項の一つです。
業務委託と正社員の違い
業務委託とはどのようなものかについて解説しました。
先ほどの解説からもわかるように、業務委託と正社員は全く違う立場で働くことになります。
ただその違いをしっかり理解しないと、自分に合う働き方の選択にはたどり着きません。
そこでここからは、正社員と業務委託の違いについて説明します。
今後どのような働き方を選択するのか選択する際に役立ててください。
雇用契約が発生するかどうか
業務委託は、業務を委託するための契約で雇用関係は発生しません。
一方で正社員は企業が雇用主でそこで働く人を従業員とした雇用関係が発生します。
そのため業務委託では指揮命令を受けることがなくても、正社員では業務内容・勤務時間など指示されたことに従う必要があります。
雇用契約が発生することで、業務委託より窮屈なのでは？と思う人もいるかもしれませんが、毎月安定して給与が得られることや社会保障の面など、会社に守られる労働者という立場になり悪いことばかりではありません。
賃金形態が基本給かどうか
正社員だと賃金形態は基本給となっていますが、業務委託は成果物や案件に対して発生するという部分でも違いがあります。
基本給の正社員は、毎月どのような業務量でも決まった金額が給与として支払われます。
しかし業務委託は案件や成果物に対して発生するため、毎月一定の金額とは限らず不安定となってしまいます。
このことから、安定性を求めるのであれば正社員を選択する人が多いでしょう。ただ業務委託は頑張った分報酬に直結するためスキル次第では高収入も目指せます。このように賃金形態にも両者には大きな違いがあり、自分の目指すものを選ぶようにすることが大切です。
就業時間が決められているか
正社員の場合、会社が指定する時間で働かなければいけません。
一方で業務委託は契約した成果物を納品すれば、勤務時間や勤務場所を問われないことが多くライフスタイルに合わせやすいのが特徴です。
就業時間が決まっている正社員は、自分の予定も会社が休みのときなど仕事が優先になってしまいますが、業務委託ではリモート型の請負契約なら納期に間に合えばどのような時間に働いても問われず、ライフスタイルや予定に合わせた働き方が叶います。
就業時間に関しても両者には大きな違いがあり、ライフスタイルに影響があるでしょう。
業務委託と派遣の違い
働き方は業務委託と正社員だけでなく、派遣という選択もあります。
派遣は派遣会社と雇用契約を結び、実際に業務の指示を行うのは派遣先である企業です。
正社員とも業務委託とも違う派遣ですが、このような働き方を選択する人もたくさんいます。
ここでは業務委託と派遣の違いについて解説します。
企業に所属しているか個人事業主か
派遣は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先である企業で働くという働き方です。
雇用主は派遣会社となりますが、業務の指示を行うのは派遣先ということになります。
一方で業務委託で働く人の多くが、個人事業主として開業届を出して働いています。
個人事業主は法人を設立せず個人で事業を起こし手形楽人のことを指し、企業と業務委託契約を結び業務を請け負うことで、それに対する報酬を得ています。
給与形態
派遣の給与形態は、時給であることが多く勤務時間×時給＝給与となります。
そのため業務料や成果物に左右されることなく、勤務した時間がそのまま給与となります。
時給なのか成果物に対して報酬が支払われるのか、それが派遣と業務委託の違いの一つです。
福利厚生が受けられるか
派遣社員として働く場合、派遣会社の福利厚生を利用できるので有休なども発生します。
派遣会社でも福利厚生を充実させている会社もあるため、正社員でなくても利用できるものも増えているのです。
一方で業務委託で働く個人事業主は、個人で事業を起こしているため福利厚生はなく、有休などもありません。
また福利厚生だけでなく社会保険の面でも、派遣社員とは異なります。
正社員同様に、労働者ではないためこのような差があるのです。
業務委託でトラブルを避けるためのポイント
正社員でトラブルが発生した場合、会社や労基に相談できるということを知っていますが、業務委託は労働基準法から外れてしまうため、なるべくトラブルが起きないように気を付けることが大切です。
そこで業務委託でトラブルを避けるためのポイントを知り、事前にトラブルを避けられるようにしましょう。
契約書作成時は弁護士に依頼して内容をチェック
業務委託を結ぶ際には、必ず業務委託契約を結ぶようにしてください。
これがないとトラブルのもとになってしまいます。
さらに業務委託契約書が作成するときは、必ず弁護士に依頼して内容をチェックしてもらい、漏れがないようにすると安心です。
信頼関係がしっかりと構築できているか
業務委託を結んだあとも、信頼関係がしっかり構築できるようにしましょう。
業務委託において信頼関係築く方法は、納期を守り企業の求めるクオリティの成果物を納品することです。
これを続けていれば「あの人に任せておけば安心」と思われ、定期的な仕事を発注してくれるようになります。
まずは信頼してもらえるように、確実に納品するようにしましょう。
必要な項目が業務委託契約書に盛り込まれているか
業務委託契約をクライアント側が作成する場合、必要な項目が契約書に盛り込まれているかを確認してください。
特に報酬麺や業務内容に関する事項はきちんと確認し、お互いに相違がないようにしておかないとトラブルの原因となってしまいます。
気になることがあれば質問し、疑問がない状態で契約を結ぶようにしてください。
実際の労働条件が契約内容と乖離していないか
実際に働いてから、契約内容と労働条件が乖離していないかも確認してください。
縛りがないと思っていた勤務時間でも、日中に頻繁にミーティングが設けられているなど、契約書に記載されていないようなことを設けられてしまった場合には、そのことに対する条件変更などを申し出ても良いでしょう。
企業と請け負う側は対等な立場だということを理解し、気になることがあれば条件の見直しも必要です。
業務委託で案件を受注してスキルを活かした働き方を
業務委託がどのようなものなのか、正社員との違いなどについて解説しました。
業務委託は雇用契約ではなく、企業が委託したい業務を請け負う契約のことを指します。
そのため高いスキルを求められますが、自分のスキルを活かして働きたいという人にはとても良い働き方の一つです。
ただ契約時の条件を細かく把握しておく必要がありますので、事前によく契約内容を把握しておくことが重要です。
